転籍のメリットとデメリット【戸籍の視点から】

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「転籍届によって本籍地が変更されることはわかりました。」
転籍届の書き方
「では転籍によるメリットとデメリットを教えてください。」
「はい、わかりました。
戸籍の視点から、まずはデメリットを挙げていきたいと思います。」

■転籍のデメリット
転籍した人が亡くなったときに、その転籍した分、除籍謄本が必要となります。
これが大きなデメリットではないかと思います。

人が亡くなった場合、遺産の相続の手続き上、
どうしてもその亡くなった人の生まれてから死ぬまでの戸籍が必要となります。

違う市区町村に転籍を繰り返すごとに、除籍が積み重なっていきます。
相続の手続きの際、その除籍が全て必要となってくるわけです。

例えば田中義三郎さんという人物が亡くなったとします。
この田中義三郎さんの死亡届が受理されれば、
戸籍には「死亡」の文字が記載されることとなります。
→参照:死亡届の書き方

この死亡のことが載った戸籍から、戸籍をたどっていくこととなるわけです。
死亡のことが載った戸籍の「戸籍事項欄」に「転籍」という文字を見つけることができたら
従前の本籍のところの役所に行って(もしくは郵送で送ってもらって)、
亡き田中義三郎さんの除籍謄本を取得しなければいけません。

その除籍にも転籍の文字を見つけることができたら、
さらにその転籍の前の本籍地から除籍謄本を取得しなければいけません。

つまり、違う市区町村へ転籍をすればした分、
相続人が取得しなければならない除籍謄本が増え、
すごく手間がかかるという相続人のデメリットが考えられるわけです。


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■転籍のメリット
「次に転籍のメリットと思わる事柄を、やはり戸籍の視点から挙げていきたいと思います。」

まず何より挙げられるメリットが
「本籍地を変更することによって、戸籍謄本を取得する役所が近くなる」
です。

例えば愛知県の人が住民票を青森県に移したが、
転籍をしない限り、本籍地は愛知県なわけです。
そして、何かしらの理由で、戸籍謄本が必要となった場合、
愛知県の本籍地の役所から戸籍謄本を取り寄せなければいけないわけです。

これが転籍届で本籍地を青森県に移すことによって
わざわざ愛知県で戸籍謄本を取得しなくてもよくなるわけです。

「これが転籍届の大きなメリットの一つですね」
「にゃるほど。他に転籍のメリットってないですか?」
「そうですね。他には下記のものがメリットとなるのではないでしょうか?」

転籍届によって、違う市区町村へ本籍地を移した(これを管外転籍と言います。)場合、
転籍先の戸籍、つまり新しい戸籍の方には、それまでの戸籍から書き移されない事項というものがあります。
この、それまでの戸籍から新しい戸籍に書き移す事項のことを「移記」といいます。

法令で、移記される事項と、移記されない事項があるわけです。

「…んー、少しわかりづらいです。」
「はい、ではたとえ話で解説したいと思います。」

例えば、1人の女性の戸籍の身分事項欄に
下記のようなことが載っていたとします。

・出生

・離婚

・認知



この身分事項欄が意味するところは
・この女性が生まれたときに「出生届」が届出された。
・この女性は結婚していたが、「離婚届」が届出された。
・この女性の父親から「認知届」が届出された。(つまりずいぶん大人になってから認知されたわけです。)
ということです。

そして、転籍届によって、本籍地を違う市区町村に移した場合、
この女性の戸籍の身分事項欄には下記のことが載ります。

・出生

・認知


つまり新しい戸籍には出生のことと認知のことが移記され、
離婚のことは移記されなかったということです。

「そして、転籍届の書き方のページでも説明しましたが、
移記される事項は法令で下記の通り定められています。」

戸籍法施行規則(第39条)  
新戸籍を編製され、又は他の戸籍に入る者については、
次の各号に掲げる事項で従前の戸籍に記載したものは、新戸籍又は他の戸籍にこれを記載しなければならない。
一  出生に関する事項
二  嫡出でない子について、認知に関する事項
三  養子について、現に養親子関係の継続するその養子縁組に関する事項
四  夫婦について、現に婚姻関係の継続するその婚姻に関する事項及び配偶者の国籍に関する事項
五  現に未成年者である者についての親権又は未成年者の後見に関する事項
六  推定相続人の廃除に関する事項でその取消しのないもの
七  日本の国籍の選択の宣言又は外国の国籍の喪失に関する事項
八  名の変更に関する事項
九  性別の取扱いの変更に関する事項

「えーと、つまり、管外転籍によって、移記されない事項があり、
例えば、
・離婚歴があることを、戸籍謄本からはわからないようにしたい。
・いわゆるおめでた婚で、過去に胎児認知があったことを戸籍謄本からはわからないようにしたい。
・過去に養子離縁をしたのが、それを戸籍謄本からはわからないようにしたい。
と言った場合は、管外転籍によって移記されないというメリットが考えられるわけですね。」
「はい、その通りです。
もっとも、除籍謄本を調べてみると、
過去にどんな届が出されたかは、ばっちり載っていることになるんですけどね。」
「わかりました。ありがとうございました。」


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■関連リンク■

転籍届の書き方【必要書類や手続きについても】
本籍変更について


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