本籍変更とはどういうことか

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本籍変更と住所変更は別物ですし、
手続きも全然別個です。

住所変更は住民票上の住所を変更することであることに対し、
本籍変更は、戸籍上の本籍地を変更することです。

そして、本籍変更と一言にいっても、
その意味は、戸籍の様々な手続きの総称だと考えることができます。

ですのでこのページでは
@まず本籍とはなんなのか?
A本籍を変更するとはどういうことなのか?
B本籍変更となる届出の種類
という順番で解説していきたいと思います。


@まず本籍とは何か?
本籍とは、戸籍謄本を取ったときに、一番上に表示されているものです。

これは住民票の住所とは全く別物です。
住民票の住所は、その人がどこに住んでいるかを公に証明するもので、
戸籍は誰と誰が結婚した等の身分関係を公に証明するものです。
→参考:本籍地とは【住所地との違いや新しい本籍の書き方について】

そしてこの戸籍上で表されている本籍は
なんのためにあるかというと、戸籍を管理しやすくするための
制度、つまりシステムとして使いやすくするためのものなんです。

例えば、ある人がどこで生まれたかを知りたいとき、
その人の本籍地がわかれば、本籍地の役所で戸籍謄本を取ることができます。
そして役所側では、本籍地を索引することによってスムーズに、
しかも人違いなく戸籍謄本を発行することができます。

このように、人の戸籍を管理しやすいようにするために
戸籍の一番上に表示された住所みたいなものが本籍となるわけです。
(くどいようですが、住所と本籍は別物です。)


A本籍を変更するとはどういうことか?
本籍を変更するとは、戸籍の一番上に表示されている本籍地を、別の本籍地にするということです。

例えば、秋田県A市B町3番という本籍から
新本籍地である、岩手県C市D町4番へ本籍地を移すことを指します。

これにより、遠くにあった本籍地を、
自分の住んでいる市区町村に本籍変更をした場合、
本人側から見たら、
戸籍謄本や戸籍抄本が取得しやすくなるし、
出生届や婚姻届、養子縁組届や死亡届等の戸籍の事務処理の手続きは
本籍地の役所が行うわけですから、
本籍地以外の役所や役場に届出するよりも、スピーディに手続きを行うことができます。

また役所側から見ても、
その届出人の本籍地以外の役所や役場に届出されるよりも、
事務処理することとなる届出人の本籍地の役所や役場に届出された方が
迅速に処理できます。

青森県に住所も本籍もあった人が、
仕事の都合で宮崎県に永久的に引越すこととなったといった場合は
住民票移動の手続きと同時に、本籍変更の手続きをすると便利は便利です。

なお、仮に引越しなどの何の理由もなくても、
日本であれば自由な場所に本籍変更をして構いません。
皇居のある場所を本籍地にしている人はとても多いです。


B本籍変更となる届出の種類
実は本籍地が変更となる戸籍の届出はいくつかあります。

・今の戸籍の本籍を、同じ市区町村内または違う市区町村へ移す届となる「転籍届」
→おおむねこの転籍届が、本籍変更の言葉が指し示す言葉となります。
・戸籍の中の成人した子供を筆頭者とする新たな戸籍を作る届となる「分籍届」
・捨て子等の何らかの事情で無戸籍者のために、新たに戸籍が作られ本籍が設定される届である「就籍届」
・離婚によって、戸籍上親権者と別々となっている子供の姓を変えるため等の本籍変更の届である「入籍届」
・結婚によってこれまでの本籍から夫婦のみの本籍に変更される届となる「婚姻届」
・離婚によって夫婦のうち筆頭者でなかった者の戸籍が作られる(または元の戸籍に戻る)届となる「離婚届」
・普通養子縁組によって養子となる者の本籍が変更となる届である「養子縁組届」
・普通養子離縁によって養子であった者の本籍が変更となる届である「養子離縁届」
・出生によって父母の戸籍に新生児が入ることとなる「出生届」

※就籍届と出生届は厳密には本籍変更の届ではありませんが、挙げておきます。


これらの届はすべて、本籍変更を伴います。
つまり本籍変更とは、これら戸籍上の手続きで本籍が変更されること全般を指すこととなります。

また各届出に本籍変更したあとの本籍地を書く欄がありますけど、
そこに書けることが住所とは違うことがあります。
本籍の表記方法が各自治体によって違うからです。
ですので、本籍変更先については事前に役所に
「これって新しい本籍地として書けますか?」
と問い合わせる必要があります。
→参考:本籍地とは【住所地との違いや新しい本籍の書き方について】

どこに本籍を置くか、ですけど、
日本であればとどこでも構いません。
祖父母からハトコまで、親族全員が同じ本籍としても構いません。
本籍は戸籍上であらわされるもので、住民票上の住所とは違うからです。
例えば
自分の戸籍の本籍も皇居(東京都千代田区千代田1番)で、
姉夫婦の戸籍の本籍も皇居。
両親の戸籍の本籍も皇居。
独身の叔父さんの戸籍の本籍も皇居。
というような本籍変更でもいいわけです。


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■各種届出の本籍変更の意味合いの違い

転籍届…
今の本籍地を、別の本籍地に変更するものです。
戸籍に載っている家族全員が本籍変更する場合にはこちらの届出となります。
参考:転籍届の書き方【必要書類や手続きについても】

分籍届…
戸籍に載っている家族のうち、成人した子供が筆頭者となる
新戸籍を作って、その子供だけ本籍変更をする場合にはこちらの届出となります。
ちなみに夫婦は分籍できません。
参考:分籍届の書き方【成人した子が新しい戸籍を作る届出です】

入籍届…
様々な本籍変更の場面で使われる届出です。
例えば、離婚後、未だ夫の戸籍に残っている子供を
親権者である母親の戸籍に入れて本籍変更をする場合や、
認知した父親の戸籍に、認知された子供を入れて、
子供の本籍を変更する場合に、入籍届は使われることとなります。
参考:入籍届の書き方【様々な事例別に解説】

婚姻届…
例えば夫となる者や妻となる者は、婚姻前はまだ親の戸籍に記載されていることが多いです。
この婚姻届によって、夫または妻を筆頭者とする夫婦二人の戸籍が作られることとなります。
つまり夫となる者、妻とのなる者の二人の本籍は、婚姻前の本籍から変更されることとなるわけです。
(もちろん、どちらかの親と同じ本籍地を、婚姻届に書いてもよい。)
参考:婚姻届の書き方【夫婦の新しい戸籍が作られる届出です】

離婚届…
夫を筆頭者とした戸籍の場合、妻は離婚届によって、妻のみの戸籍を作るか
婚姻前の戸籍に戻る本籍変更がされる届出が離婚届となります。
参考:離婚届の書き方(記入例つき)【証人・本籍・住所・子供の親権について】

養子縁組届…
養子は婚姻していない場合、養親の戸籍に入ることとなります。
当然養子の本籍は変更されます。
参考:養子縁組届の書き方【養子と養親が法定の親子関係を結ぶための届出です】

養子離縁届…
養子は養子離縁によって養親の戸籍から抜け、
元の戸籍に戻るか、新しい戸籍を作るかの本籍変更がなされます。
参考:養子離縁届の書き方【養子縁組を解消する届出です】



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